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2005年09月30日

答案構成講座

弁理士試験合格者ならおそらくほとんど知らない人はいないだろう有名な講座。代々木塾の堤先生が担当している。

特許法・実用新案法が8回。意匠法が4回。商標法が4回の計16回の講義。それぞれその半分が出願段階についての講義で、もう半分が権利化後についての講義になっている。毎回、4つの問題があり、それぞれに答案構成例と模範解答例が記載されている。問題は基本的に事例問題が中心で、そのほとんどが新作問題。

論文合格するためには、一般に答案構成講座の3年分のレジュメを読み込む必要があるとさえいわれている。3年分ぐらいで、論文筆答試験に必要な知識がほぼ網羅されるということだろうか。どの受験機関を利用する人も少なくともこの答案構成講座のレジュメには何らかの形で目を通しているという人がほとんどだろう。この答案構成講座に記載されていることは、ほぼすべての受験生が本試で記載してくるので、知らないで項目を落としたりすると非常に不利になる。ただ、試験委員もこの答案構成講座のレジュメに目を通しているので、答案構成講座で出題された問題と似たような問題は出題されないという噂もある。

「答案構成」という名前が付いているが、大まかな構成を述べ、レジュメをひたすら読むという講義が多い。答案構成講座を一通り受講すると論文がとりあえず書けるレベルには達する。あとは、基本レジュメの理解や1月から開始する答案練習会などで実践を積めば、なんとか論文本試験には対応できる。

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投稿者 nabe : 21:26 | コメント (3) | トラックバック

2005年09月29日

パテントニュース

パテントニュース―弁理士試験合格情報誌
早稲田経営出版
価格: ¥699 (税込)
おすすめ度 

弁理士試験の大手受験機関のひとつ早稲田セミナーが出版する弁理士試験対策の刊行誌。

そして、自分が受験した時に、大変お世話になった雑誌。

特に、鴨田先生の執筆している重要判例解説講座は、私の受験時代、非常に参考になった。毎回、受験に重要な判例がひとつずつ挙げられ、その判例についての解説がなされる。非常にわかりやすい説明で、その判例について根底から理解した気持ちになる。ひとつの判例の説明なかに必ずひとつ以上のテーマがあり(例えば、ウォーキングビーム炉事件であれば先使用権というように)、判例の学習とともにひとつのテーマの学習にもなる。特許法は、民法の特別法であるので、特許法を根底から理解しようとすると民法の知識が必要とされるが、民法等の知識が不足しがちな受験生にもわかりやすいように誌面の許す限り丁寧に解説されている。いまでは鴨田先生とは別の先生が判例の解説講座を執筆されているようだが、依然としてその流れは受け継いでいるようである。

論文誌上添削講座では、特許・実用新案、意匠、商標の論文問題の誌上添削も行っている。だいたい1年前くらいの早稲田セミナーの論文答練の問題が掲載されており、模範解答や簡単な講評なども後の号に掲載される。さらに、2000円程度支払えば、添削を受けることができ、解答を見るだけでは物足りなければ利用してみるとよいかもしれない。

その他、実際の短答や論文筆記試験の問題と模範解答、口述試験の質疑と応答ながを特集として掲載れたり、短答対策講座や論文対策の問答集などが掲載さる。この価格にしたら十分すぎるぐらいの質の高い内容といっていい。私は、短答試験直前に短答対策の一問一答の特集を、論文試験直前と口述試験直前には論文対策の問答集の特集を特に利用した。

個人的には是非購読をオススメしたい。

定期購読も受け付けているのでそちらを利用すると少しだけお得になる。

http://www.waseda-mp.com/magazines/patent.html

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投稿者 nabe : 23:38 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月28日

知っておきたい特許法

知っておきたい特許法

国立印刷局
2004-11
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おすすめ度 

初学者には、青本や吉藤は難しすぎます。
受験機関の基礎講座や初級ゼミなどに所属すれば優秀な先生方が基礎からわかりやすく講義してくれますが、独学で基礎から学習しようとしている人にはなかなか大変です。
特許制度そのものについて概観すると理解がふかまるので、まず簡単な書籍から読んでみるとよいかもしれません。

よく受験生の間では知っておきたい特許法がよいという話を聞きます。青本や吉藤がどうしても理解できないという人はまずこの知っておきたい特許法から入ってみるのもよいかもしれません。

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投稿者 nabe : 22:22 | コメント (0) | トラックバック

基本レジュメ その1

今回は、基本レジュメについてです。

基本レジュメとは、基本的な問題(例えば新規性とは)等について記述した論文の模範解答です。もしくは、そのような模範解答を集めたものをいいます。たいてい一行程度で作成された簡単な問題で、例えば「新規性について述べよ」とか「29条の2と39条の違いを述べよ」など、いわゆる一行問題の形をとっています。

現在では事例を基にした論述形式の問題が主流ですが、以前(といっても平成1年より前ぐらいでしょうか)は、この一行問題が主流でした。最初の頃受験生は、吉藤などの数少ない基本書を必死にまとめてオリジナルの基本書を各自作成していたようです。答練などで優秀な答案があれば適宜自分の基本レジュメと差し替えるということも行っていたという話を聞いたことがあります。そのため、受験生は一通りのレジュメ集を作成するだけでどうしても3年程度かかってしまっていたようです。

ですが、代々木塾から基本レジュメ集が発売されると、皆その基本レジュメ集を暗記してそのまま再現するようになりました。そうなると、論文本試験ではいかにレジュメを正確に再現できるかということでしか差がつかなくなり、ちょっとのミスも許されないようなレベルになっていたとも聞きます。

試験委員の先生方もそのような傾向に疑問をもたれたためか、平成5,6年ぐらいからだんだんと事例形式の問題が出題されるようになり、基本問題が出題されなくなりました。事例問題というのは、事例・事件についての具体的措置などを記載させる問題のことで、基本問題が抽象的一般的な問題であるのに対して、事例問題は具体的です。近年では、ほとんど基本問題がそのまま出題されるケースはなくなり、ほぼ事例問題一色といってもよいほどになりました。たまに、平成14年度の意匠の問題みたいに、大問として基本問題そのものが問われることもありますが、最近では希であるように思います。出るとしても小問としてでしょう。

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投稿者 nabe : 22:11 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月27日

選択科目の過去問集

大学院修士や情報処理技術者試験による選択科目免除のため、選択科目自体を受ける人が以前に比べて少なくなりました。そのためか、参考書の入手が比較的難しくなりました。

以前は、LECがほとんどすべての選択科目の過去問とその解答を冊子で窓口販売していましたが、民法等一部科目を除いて販売中止してしまったようです。

いま、大型書店等でよく目にするのは法学書院の過去問集でしょうか。

弁理士試験論文式問題集 選択科目編

また、同じ法学書院の出版する受験新報より選択科目の過去問集が発売されています。以前目にしたものでは、情報通信工学の情報理論の問題と解答が掲載されていました。
弁理士論文式問題と解答―必須科目+選択科目共通問題 弁理士受験新報

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投稿者 nabe : 21:32 | コメント (1) | トラックバック

論文筆記試験の成績

論文筆記試験の不合格者には、不合格通知とともに各科目の評価を知ることができます。評価は、○ABCDEの6段階になっていて以下のような評価になっています。

○印…………合格基準%以上の得点
ランクA:…合格点まで満点の 5%以内
ランクB:… 〃 6%~10%
ランクC:… 〃 11%~15%
ランクD:… 〃 16%~20%
ランクE:… 〃 21%以上

特実・意匠・商標・選択科目がそれぞれ○○○○の時のみ合格するというわけではなく、
A○○○でも、○○B○でも合格する可能性はあります。というよりそういう人の方が多いように思います。

逆にA○○○でも不合格ということがあり、判断に悩むところですが、論文筆記試験後の自分の手応えと比較してみるのもよいかもしれません。

論文試験を通過した人は論文試験がどれだけできたかは通知されません(記憶の限りでは)。
もしかしたら、口述試験の際、総括質問という形で筆記試験の手応えはどうでしたかというような質問とともに、筆記試験のできを試験管がそれとなく教えてくれるかもしれません。私の場合は、どの特許・意匠・商標とも試験のできについての質問(又は試験委員の感想)がありました。

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投稿者 nabe : 15:56 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月26日

文字の汚さ

論文試験は、基本的にボールペン又は万年筆で書きます。
論文は丁寧に書く必要はありますが、制限時間内に必要な分量を書かなければならないので
どうしても乱雑な文字になりがちです。

よく、受験生の間で文字の汚さは採点の不利になるかどうかという話があります。
綺麗な文字、汚い文字というのもそれぞれなのですが、読みやすい文字、読みにくい文字はあるように思います。

結論をいうと、大した差にはならないが心証には影響します。判別不可能の文字は採点の対象外になります。同じ項目、同じ論理なら字の綺麗・汚いで多少の差はあるかもしれません。読みやすい答案に超したことはないです。

昨年、論文答練の採点講師をやった率直な感想ですが、読みにくい文字の人の答案は文字の識別に勢力を削がれ論理の流れを追いにくいように思いました。しっかりした論理がくまれていれば話は別ですが、そのような答案ははっきり言ってごく僅かです。論理の構築も中途半端で文字も汚いと心証はすごく落ちます。逆に、読みやすい文字の人は読む前から何となくそれだけで優秀な答案に思えるときもあります。もっとも、しっかり項目や論理も見ますし、内容が酷ければ高い点数はつけませんけれど。

だいたい10人の答案があれば、3人は綺麗で読みやすく、3人はまぁ読める程度、4人は頑張って読めば大丈夫な程度でした。たまにかなりレアですが、4人の中に相当頑張らないと読めない人が混じっていたりします。

ペン習字などを習った方がよいとまではいいませんが、せめて文字の大きさを揃えるとか、文字を同じ高さに揃えるなど工夫をすべきだと思います。書きなぐってある答案だけはやめた方がいいと思います。
少なくとも自分が採点者に注意してほしいと思うような項目は決して読めない字で書いてはいけません。

誰かに一度答案の文字の読みやすさについて見てもらった方がよいかもしれません。

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投稿者 nabe : 17:04 | コメント (2) | トラックバック

2005年09月25日

中古参考書・講座の売買掲示板

今回は、使わなくなった参考書や講座のテキストなどを売買する掲示板を紹介します。論文試験の合格発表終了後や最終合格発表後などは大量に売りに出されるので、自分のほしいものが格安で手に入るかもしれません。以前は、弁理士メーリングリストがもっともにぎわっていたように思いますが、今は売買用の掲示板はなくなってしまいました。

主にメールでの取引である程度相手を信用しなければならない点では多少不安はあるかとは思いますが、特に、ゼミ仲間などがいない人にとっては他の受験機関のレジュメなどを格安で手に入れることができる使える手段の一つだと思います。

■ 弁理士試験(雑談・交流)ぱてんとどっと混む - ぱてんとどっと混む(弁理士試験モード稼働中)
http://dotcom.versus.jp/joyful/joyful
■ 求む求めますのコーナー - 弁理士試験プライベートゼミ
http://bbs1.otd.co.jp/25302/bbs_plain
■ 弁理士試験伝言板
http://4bbs.php-s.net/?id=benko

基本的には、落札者の銀行振り込み後に配送という形をとっているものが多いようです。心配な人は、代引きなどを利用してもよいかもしれません。ただ、銀行への振り込み手数料に比べると多少割高になるかもしれませんが。
あと、送料をどちらが負担するかは交渉次第です。

その他に似たようなサイトがあれば紹介お願いします。

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投稿者 nabe : 17:17 | コメント (4) | トラックバック

2005年09月24日

選択科目(計算機工学)の参考書

今回は、情報通信工学の選択科目である計算機工学の参考書を紹介します。

計算機工学は、範囲は広いですが過去問が比較的昔から過去問があったため、試験範囲などを捉えやすいためか、比較的選択しやすい科目だと思います。

レベル的には、情報処理技術者の基本情報技術者とレベル的には近いように思えます。計算機工学対策の参考書としても基本情報技術者の参考書が役に立つかもしれません。

今回は、フリップフロップ、順序回路、組み合わせ回路、カルノー図、補数表現などを網羅する参考書を紹介したいと思います。基本的に1章~3章まで読めば十分だと思います。4章や5章も試験範囲ですが、レベル的に試験範囲を超えているので時間的にきつい人は読むべきではないと思います。

この参考書はところどころ(というか頻繁に)誤植があるので注意しながら読んでいってください。

出版社の紹介ページ
4876530076コンピュータアーキテクチャ
M.モリス・マノ


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投稿者 nabe : 23:24 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月23日

基礎答練

私がオススメする講座の一つに基礎答練があります。

各受験機関でその名前が違うと思いますが、基本レジュメの再現を行う講座のことです。
受講している当時は、本当にアホくさい作業だと思っていましたが、最終的に自分に一番ためになった講座のひとつであると思っています。

代々木塾の基礎答練であれば、あらかじめ出題される基本問題とその解答が3つほど事前に配布され、それを答練の会場で再現します。

初学者の方に、基本レジュメを馬鹿にして事例問題ばかり見ている方をたまに見かけます。事例問題中心の学習ももちろん大事ですし、事例問題中心の学習方法でも最終合格することはできます。
ただし、基本問題中心の学習をしている人に比べて応用が効きにくく、出来不出来の波ができてしまいます。確実に合格するだけの力を身につけるのであれば基本レジュメによる学習は必須なのです。基本レジュメの重要性については、また追々説明したいと思います。

基本問題のインプット作業は意外に面倒な作業でなかなか自分だけだとできないのが実情です。
ですから、強制的にでも頑張らなければならないという環境を作って基本問題のインプット作業ができるようにすべきだと思います。毎回、成績表に載ることを目指したり、必ず成績表の左側に載るようにするなど簡単なことでよいので自分に課題を作るのもよいことだと思います。

暗記するのが得意だという人はあまり見かけたことはありません。ほとんどの人が暗記は苦手です。
ただ単純に記憶するのではなく、書かれている文章を理解して覚えるのがよいでしょう。

最後に、この答練を受けるに際して必ず守ってもらいたいことがあります。
それは、必ず予習して完全に3題頭の中にインプットして臨むこと。そして、欠かさず出席することです。
そして、できる限り通学の講座を申し込むことです。通信でもよいのですが、自宅でやると甘えが出てしまいがちですし、周りに頑張っている人がいるという緊張感もあまり感じられないので。

仕事をしているとなかなか自分の思うようにはいかないのは当然ですが、寝る時間を惜しんでも頑張るだけの価値はあると思います。

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投稿者 nabe : 11:39 | コメント (7) | トラックバック

2005年09月22日

口述試験について

口述試験は、基本的に過去問と同じ問題がでます。ですから、過去問を集中的に回す必要があります。
多くの受験機関の口述練習会が過去問中心なのもこのためだと思います。

ただ、来年改正予定の事項や今疑問視あれていることなども問われることがありますので、一応確認しておいてください。昨年度、自分が受けたときは、「商標法における役務と小売り」について聞かれました。

特実・意匠・商標と3回のチャンスがあり、そのうち2回までしっかり答えられれば合格ですので、特実・意匠でしっかり答えることができれば商標の口述はかなりリラックスして臨めます。


ちなみに、昨年度の口述のテーマ一覧は特許庁のHPより参照できます。
HOME > 特許庁の取り組み(弁理士試験に関して) > 弁理士試験に関して > 平成16年度弁理士試験口述試験問題テーマの公表
http://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/benrisi_oral_theme_fy16.htm

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投稿者 nabe : 13:52 | コメント (0) | トラックバック

弁理士試験論文筆記試験の合格発表

弁理士試験論文筆記試験の合格発表がありましたね。
まずは、合格者の方おめでとうございます。まぁ、ほぼ今回の合格が最終合格と同じようなものですし。
口述まであまり時間がないので、早めに対策を打つべきだと思います。特に口述練習会は早めに締め切るところも多いので、今日中には連絡すべきだと思います。

■ 口述練習会の情報については、ココの記事を参照のこと。


残念ながら不合格になってしまった方は、何が問題だったかを早めに検討すべきだと思います。
論文試験を受け終わった時点で、たいてい問題点には気づくものですが、絶対合格すると確信していたのに不合格だったというような人は一度、誰かに答案の再現を見てもらった方がよいかもしれません。
早めに軌道修正をして年内には自分の欠点をなくしておくべきだと思います。運不運で片付けるのは簡単ですが、問題点は必ず見つけ出すべきです。

合格者が738名。去年が、634名。その前の年は551名でした。
すごい勢いで合格者が増えてます。
これからは弁理士のインフレが起こり、質が問われる時代がくるのかもしれません。
しっかり仕事ができることがまず前提だとは思いますが、これからはいろいろな付加価値が求められてくるのかもしれません。

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投稿者 nabe : 12:02 | コメント (0) | トラックバック

春秋会 口述練習会

受験生ではないのに、口述練習会のお知らせのメールがきました。
去年、一昨年は口述練習会の参加費は5,000円でしたが、値上げしたようです。

日程:平成17年10月3日(月)、4日(火)の2日間
時間:18:30~21:30
場所:ソフィテル東京(口述試験会場と同じ会場です)
会場の地図は、http://www.sofiteltokyo.com/ を参照下さい。
費用:8,000円(当日、受付にてお支払い頂きます)
定員:120名
申込期間:平成17年9月22日(木)正午~定員になり次第終了
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投稿者 nabe : 00:26 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月21日

情報理論(選択科目)の参考書

選択免除でない人にとっては、やはり選択科目は重荷でしょう。学生であれば、知っていても当然といえる知識でも、卒業してから何年も経っている人にとっては学部生レベルの知識でも、なかなか思い出すのも大変だったりします。

私は、情報通信工学を選択科目として選択しました。毎年、同じような問題ばかり出題されるので、選択科目の中でもかなり易しい部類に入る科目かもしれません。

情報通信工学の必須科目である情報理論は、おそらく今井先生の情報理論の本を参考にするとよいと思います。例年の試験の傾向から言うとこの本が種本となっている可能性が高いように思います。古典的ですが、名著で情報理論を学習する人であれば知らない人がいない位、有名な本です。多くの授業でも教科書的に使われています。

4785611391情報理論
今井 秀樹

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投稿者 nabe : 14:37 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月20日

論文試験の法文集

初心者の方には意外に思われる方も多いですが、実は、論文試験は試験中、法令集を見てもよいことになっています。ただ、各自持参の法令集ではなく、試験会場で配布される特別なものです。市販の法令集は、2冊に分冊されていますが、試験会場で配布される法令集は、試験に必要な法律のみ収録され、1冊にまとめられています。

特実・意匠・商標の試験毎に配布された法令集は回収され、試験開始前に再度配布されなおします。おそらく、特実・意匠・商標の試験の間の休み時間に法令集に書き込みをしカンニングをことを防止するためだと思います。

商標の試験後、各自に配布された法令集は持って帰ることができます。特実・意匠の時の使われ方によって、条文に書き込みがされていたり、ページが折り曲げられていたりと汚い使われ方がされていることもあります。そのときは、アンラッキーだったと思って諦めるしかありません。

試験会場で配布される法令集は、市販の法令集と異なり表紙は紙でできてますし、中身のページもあまりよくない材質の紙を使っています。また、準用条文なども記載されていないはずなので、少々とまどうかもしれません。また、法令集や法文集よりも小さなフォントを使っていますので、あまり見やすいとはいえません。

早稲田セミナーから本試験で使用するものと同じ体裁の法文集が毎年発売されています。参考までに一度見てみるとよいかもしれません。各地の早稲田セミナーの校舎付属の書店には少なくともおいてあると思います。

『弁理士試験 法文集』
11月発売予定 定価(税込)3,000円 送料300円
http://www.w-seminar.co.jp/benrishi/benrishi_shuppan.html#01
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投稿者 nabe : 21:43 | コメント (2) | トラックバック

2005年09月18日

受験機関の利用について

弁理士試験は一般に受験機関を利用しないと受からないといわれています。独学ではなかなか最終合格することが難しく、ほとんどの合格者は何らかの形で受験機関を利用しているというのが現実でしょう。

受験機関を利用するメリットとしては、


といったところでしょうか。

おそらく、独学でも最終合格することは不可能ではないとは思います。ただ、独学だと法律知識などの習得とは別に、勉強法方法の模索や試験の傾向などの把握などを独自で行わなければならず、どうしても試行錯誤の作業が多くなり、余計な時間や手間がかかってしまいがちです。

独学者が陥りやすい学習方法として最も多いのは、実際の試験問題を無視した学習です。資格試験は、試験に合格することが目的であり、知識を高めることが目的ではありません。従って漫然と学習するのではなく、試験に受かるための学習をする必要があります。そのためには、短答試験や論文試験などの過去問を元に、その過去問を解くためにはどの様な学習方法をとらなければならないか、そのためにはどこからどの様にして学習する必要があるかということを分析する必要があります。極論を言ってしまえば、本試験で点数をとるためなら本質を理解する必要は必ずしも必要ないのです。

しかし、初学者の人が何の知識もなしに過去問をみてそのような分析を行えるはずありません。そうすると、どうしても「なんとなく」条文を最初から読んでみたり、「なんとなく」基本書を読んでみたりといった漠然とした学習方法をしてしまうようです。また、法律特に工業所有権四法は、相互に条文同士が関連し合っていることが多く、大局的なものの見方ができないとなかなか全体像が見えてきません。自分が疑問に思ったことなどに一つ一つ答えてくれる人が自分の周りにいるかいないかで学習の効率はかなり変わってくるでしょう。

たとえるならば、ある場所からある見知らぬ土地の目的地まで行きたいという場合に、地図もなく自分の勘を元に適当な方向に手当たり次第に歩き回り目的地を目指すことに独学は似ています。これでは、いつ目的地に着くかわかりません。その土地の人に目的地までの行き先を教えてもらか、地図を購入して目的地までたどり着く方が断然早く目的地までたどり着けます。お金をかけてもよいならばタクシーなどを利用してもっと楽にたどり着くこともできます。楽をした分、時間も労力も他のことに割けるので全体的には効率がよかったりします。


弁理士試験に限らず、何をするにでもライバルや共に頑張る仲間がいるとお互いが刺激となり効率が高まります。受験機関のゼミや講座を受講すれば、だいたい同じぐらいの知識レベルの人間が集まるので、そこで受験仲間を探してみるのもよい刺激になるかもしれません。また、お互いの情報を交換し合うことで予想外の収穫があるかもしれません。受験時代に知り合った仲間は、受験後も重要な人脈になりますので、大事にしたいものです。

ただ、受験機関はあくまで効率のよい学習の支援であり、あくまで学習の主体は自分自身ですので、どこまでその効率性を享受するかは各自が判断すべきことだと思います。受験期間にかけるお金と学習の効率はトレードオフなので、上手に受験機関を利用することをオススメします。

次回は、自分が受験の時に使った受験機関とその講座を紹介したいと思います。

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投稿者 nabe : 12:15 | コメント (0)

2005年09月17日

工業所有権四法対照法文集(平成18年度版)

PATECHの四法対照法文集が発売されています。新たな改正に対応しているようです。

4938788535工業所有権四法対照法文集 (平成18年度版)
PATECH企画出版部


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対照法の使い方などはこちらの記事を参照。
http://mypage.s7.xrea.com/x/blog/archives/2005/08/post_12.html

主として平成17年6月15日に施行された「商標法の一部を改正する法律(平成一七年六月一五日法律五六)」及び平成17年6月29日施行された「不正競争防止法を改正する法律(平成一七年六月二九日法律七五)」等に対応。

□ PATECHでの紹介ページ
http://www.patech.co.jp/

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投稿者 nabe : 17:48 | コメント (0) | トラックバック

弁理士試験代々木塾式・判例セレクト知的財産法 (2)

弁理士試験代々木塾式・判例セレクト知的財産法 (2)
大塚 康英 広田 浩一

弘文堂
2005-09

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おすすめ度 

判例セレクトの続編が出ているようです。

弁理士試験用に判例の重要部分のみ抽出して記載されています。太字部分を特に重点的に意識して学習すると論文の時などに役に立つのではないかと思います。

試験対策に必要な判例は、意外と多くすべてを網羅しようとすると結構な時間がかかるので、まずはこの本を使って判例を概観するのがよいと思います。

以下の弘文堂での紹介ページにより詳しい情報が載っていますので、参考にしてください。

□ 弘文堂での紹介ページ
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/kbn2245.html

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投稿者 nabe : 12:33 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月16日

口述練習会

もうそろそろ、論文試験の合格発表ですね。ということで、口述試験対策の練習会を行っている受験機関や会派を紹介したいと思います。

まずは、主要な受験機関。


  1. 代々木塾
    5000円。練習会の内容は、基本的に過去問から出題される。過去問を如何に把握できているかを試すための模試だと考えてよいと思う。
  2. 早稲田セミナー
  3. LEC

次に、口述対策の練習会をやっている会派を紹介します。勧誘活動の一環としてやっているのだと思うが、会派への参加とは切り離して考え積極的に利用することをオススメする。

  1. 春秋会
    5000円で練習会に参加することができる。試験管は一人。実際の口述試験の会場となるソフティル東京で行われる。基本的に問題は過去問から出題される。※今年は8000円のようです。
  2. 弁理士クラブ
    3000円で練習会に参加することできる。試験管は1~2人。飯田橋のレインボービル大会議室で行われる。長机がたくさん並べられており、受験生は特許・意匠・商標の3科目をそれぞれ1回ずつ練習することができる。問題は基本的にオリジナル問題である。代々木塾の専任講師である堤先生が問題を作っているのだろうか。過去問よりも若干難しめで量も多いように感じた。受験生は出題されたオリジナル問題だけでなく、その他の用意されたオリジナル問題も帰り際レジュメとして配布されるのでよい復習材料になる。練習会は2回開催され、それぞれ異なる問題なので両方とも参加してみてもよいかもしれない。
    申し込みは、まずホームーページの受験生向けコンテンツのメール配信サービスに登録し、練習会に関するメールにおいて申し込みを行う。
  3. PA会
    無料で模試をやっており良心的に感じる。試験官は二人で会派の弁理士の人が有志でやっているようである。弁理士会館の大きな部屋に長机をいくつか並べて流れ作業的に模試を受ける。模試の内容は、過去問そのままで、過去問の内容をしっかり覚えているかどうかを試すための模試として受けるのがよいと思う。
  4. 南甲弁理士クラブ

その他の口述対策の練習会の情報があれば是非連絡ください。

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2005年09月15日

丸沼書店

知財・弁理士試験関連の書籍を購入するのにオススメな書店を紹介します。

丸沼書店
東京都千代田区神田三崎町2-8-12
http://marunumashoten.com/

基本的に本は定価で販売されていますが、この丸沼書店では、新本が一割引で購入することができます。ただし、現金のみの取り扱いで図書券等では割引になりません。法律系の書籍は一般に高い本が多いので、一割引でも結構お得なのではないかと思います。交通費とのかね合いですが、この近辺に住んでいたり、通勤圏内であれば利用してみるとよいと思います。

また、法律・税務・会計専門書店なので、比較的品揃えもよく、大型書店でも取り扱っていないような本がここだと見つかるということもあります。知財関係の本、弁理士試験関連の書籍なども比較的品揃えがいい方だと思います。大型書店などで見つからなかった本で実際に手にとって見てみたい本があれば丸沼書店などに立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

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2005年09月11日

審判請求の除斥期間に関する判例

平成17年07月11日 第二小法廷判決 平成15年(行ヒ)第353号 審決取消請求事件
要旨:  商標法4条1項15号違反を理由とする商標登録の無効の審判請求が除斥期間を遵守したものであるというためには,除斥期間内に提出された審判請求書に,当該商標登録が同号に違反する旨の記載があることをもって足りる
47条は,15号違反を理由とする商標登録の無効の審判は商標権の設定の登録の日から5年の除斥期間内に請求しなければならない旨を規定する。その趣旨は,15号の規定に違反する商標登録は無効とされるべきものであるが,商標登録の無効の審判が請求されることなく除斥期間が経過したときは,商標登録がされたことにより生じた既存の継続的な状態を保護するために,商標登録の有効性を争い得ないものとしたことにあると解される。このような規定の趣旨からすると,そのような商標は,本来は商標登録を受けられなかったものであるから,その有効性を早期に確定させて商標権者を保護すべき強い要請があるわけではないのであって,除斥期間内に商標登録の無効の審判が請求され,審判請求書に当該商標登録が15号の規定に違反する旨の記載がありさえすれば,既存の継続的な状態は覆されたとみることができる。
 そうすると,15号違反を理由とする商標登録の無効の審判請求が除斥期間を遵守したものであるというためには,除斥期間内に提出された審判請求書に,請求の理由として,当該商標登録が15号の規定に違反するものである旨の主張の記載がされていることをもって足り,15号の規定に該当すべき具体的な事実関係等に関する主張が記載されていることまでは要しないと解するのが相当である。
 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件審判請求が除斥期間を徒過したものでないことは明らかであって,本件審決に47条の解釈適用の誤りはない。本件審判請求が不適法なものではないとした原審の前記判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。


除斥期間経過前に「商標法4条1項15号の規定に違反してされたものであるから、同法46条1項の規定により無効とされるべきものであり、詳細な理由は追って補充する」旨を審判請求書の請求の理由に記載し、除斥期間後、補正命令により指定された期間内に具体的な理由を記載した書面を提出したというのが今回の事件です。

商標法47条は審判請求の除斥期間について規定されており、15号違反を理由とした無効審判請求にも除斥期間が定められています。

第47条
商標登録が第3条、第4条第1項第8号若しくは第11号から第14号まで若しくは第8条第1項、第2項若しくは第5項の規定に違反してされたとき、商標登録が第4条第1項第10号若しくは第17号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、商標登録が第4条第1項第15号の規定に違反してされたとき(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)又は商標登録が第46条第1項第3号に該当するときは、その商標登録についての同項の審判は、商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができない。

そもそも除斥期間を規定した47条は一定期間経過後は、無効理由のある商標登録であっても一定の信用が化体するので、その商標は保護してもよいという観点から規定されましたが、本来無効理由が存在する登録すべきでなかった商標ですので、その有効性を早期に確定させて商標権者を保護すべきという強い要請があるわけではないと判決で述べられています。

おそらく、除斥期間を適用しても、除斥期間を適用しなくてもよい微妙なライン上にありますが、どちらをより保護した方がよいかという観点から上述のような結論に至ったのだと思います。趣旨から47条はどちらかというと商標権者には厳しく適用される規定なのだと思います。

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投稿者 nabe : 12:55 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月10日

分割に伴う補正の効果

今回は、商標法における、拒絶審決に対する審決取消訴訟中における分割(10条1項)に伴う補正(準特施規30条)の効果について言及した判例を紹介します。

平成17年07月14日 第一小法廷判決 平成16年(行ヒ)第4号 審決取消請求事件
要旨:  商標登録出願についての拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,分割出願がされ,もとの商標登録出願について指定商品等を削除する補正がされたときには,その 補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはない

商標法では審査・審判・再審・異議申立以外は補正をすることができません(68条の40)。一方、分割をすることができる時期はというと、審査・審判・再審の他に拒絶審決に対する審決取消訴訟です。補正の時期と分割の時期とを比較すると拒絶審決に対する審決取消訴訟では、条文上、68条の40に規定する補正はできないが、分割をすることが可能ということになります。拒絶審決の審決取消訴訟において分割できるとしたのは、商標法条約の要請からです。

(手続の補正)
第68条の40
 商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
(商標登録出願の分割)
第10条
 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。

68条の40とは別に、分割時においてもとの出願から新たな出願に記載した指定商品等を削除しなければならない旨記述した規定があります。それが商標法施行規則22条4項で、特許法施行規則30条を準用しています。分割としての体裁を整え新たな出願と元の出願との重複部分をなくすためです。この規定があるために、分割時においてもこの商標法施行規則22条4項を目的としていれば補正することができます。

ここで、補正の効果についてですが、商標法68条の40の補正の効果は遡及効により出願時にまで遡ります。それでは、分割と共にする補正はどうなのでしょうか。今回の判決では以下のように言及れています。

事件の概要は、

  1. 指定役務甲・乙・丙・丁について商標登録出願
  2. 拒絶理由通知に対して指定役務甲を削除する補正
  3. 拒絶査定
  4. 拒絶査定不服審判
  5. 拒絶審決
  6. 拒絶審決に対して審決取消訴訟
  7. 指定役務丁を分割し新たな出願。元の出願を指定役務乙・丙に減縮する補正
  8. 指定役務乙(「建築一式工事」を除く)・丙を分割し新たな出願。元の出願を指定役務「建築一式工事」に減縮する補正
という流れです。
商標法10条1項は,「商標登録出願人は,商標登録出願が審査,審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り,2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を1又は2以上の新たな商標登録出願とすることができる。」と規定し,同条2項は,「前項の場合は,新たな商標登録出願は,もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。」と規定している。また,商標法施行規則22条4項は,特許法施行規則30条の規定を商標登録出願に準用し,商標法10条1項の規定により新たな商標登録出願をしようとする場合において,もとの商標登録出願の願書を補正する必要があるときは,その補正は,新たな商標登録出願と同時にしなければならない旨を規定している。

 以上のとおり,商標法10条は,「商標登録出願の分割」について,新たな商標登録出願をすることができることやその商標登録出願がもとの商標登録出願の時にしたものとみなされることを規定しているが,新たな商標登録出願がされた後におけるもとの商標登録出願については何ら規定していないこと,商標法施行規則22条4項は,商標法10条1項の規定により新たな商標登録出願をしようとする場合においては,新たな商標登録出願と同時に,もとの商標登録出願の願書を補正しなければならない旨を規定していることからすると,もとの商標登録出願については,その願書を補正することによって,新たな商標登録出願がされた指定商品等が削除される効果が生ずると解するのが相当である。

 商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決(以下「拒絶審決」という。)に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について補正がされたときには,その補正は,商標法68条の40第1項が規定する補正ではないから,同項によってその効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはなく,商標法には,そのほかに補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずる旨の規定はない。そして,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合にも,補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずるとすると,商標法68条の40第1項が,事件が審査,登録異議の申立てについての審理,審判又は再審に係属している場合以外には補正を認めず,補正ができる時期を制限している趣旨に反することになる(最高裁昭和56年(行ツ)第99号同59年10月23日第三小法廷判決・民集38巻10号1145頁参照)。

 拒絶審決を受けた商標登録出願人は,審決において拒絶理由があるとされた指定商品等以外の指定商品等について,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願をすれば,その商標登録出願は,もとの商標登録出願の時にしたものとみなされることになり,出願した指定商品等の一部について拒絶理由があるために全体が拒絶されるという不利益を免れることができる。したがって,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について願書から指定商品等を削除する補正がされたときに,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることを認めなくとも,商標登録出願人の利益が害されることはなく,商標法10条の規定の趣旨に反することはない

 以上によれば,拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて新たな商標登録出願がされ,もとの商標登録出願について願書から指定商品等を削除する補正がされたときには,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはなく,審決が結果的に指定商品等に関する判断を誤ったことにはならないものというべきである。

68条の40で補正の時期を制限しており、審決取消訴訟中での補正を認めていないことから、分割と共にする補正(準特施規30条)には遡及効はないというのが結論のようです。分割で遡及効を認めているので、出願人には不利益がないといっています。


関連する話題について弁理士試験MLで有用な議論がありましたので参考までに挙げておきます。

http://www.ca.sakura.ne.jp/~patent/pa/dir_bbs/bbs1/patio.cgi?mode=view&no=250

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投稿者 nabe : 14:33 | コメント (2) | トラックバック

2005年09月08日

4条1項8号の「著名な略称」の判断について

平成17年07月22日 第二小法廷判決 平成16年(行ヒ)第343号 審決取消請求事件
要旨:  登録商標「国際自由学園」が商標法4条1項8号所定の他人の名称の著名な略称を含む商標に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
本件商標「国際自由学園」が上告人略称「自由学園」を含む商標であること,上告人が被上告人に承諾を与えていないことは明らかであるから,上告人略称が上告人の名称の「著名な略称」といえるならば,本件商標は,8号所定の商標に当たるものとして,商標登録を受けることができないこととなる。  商標法4条1項は,商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが,需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号,15号等の規定とは別に,8号の規定が定められていることからみると,8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その他人の承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像,氏名,名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち,人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。  そうすると,
人の名称等の略称が8号にいう「著名な略称」に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべき
ものということができる。  本件においては,前記事実関係によれば,上告人は,上告人略称を教育及びこれに関連する役務に長期間にわたり使用し続け,その間,書籍,新聞等で度々取り上げられており,上告人略称は,教育関係者を始めとする知識人の間で,よく知られているというのである。これによれば,上告人略称は,上告人を指し示すものとして一般に受け入れられていたと解する余地もあるということができる。そうであるとすれば,上告人略称が本件商標の指定役務の需要者である学生等の間で広く認識されていないことを主たる理由として本件商標登録が8号の規定に違反するものではないとした原審の判断には,8号の規定の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。


商標法4条1項8号の「著名な略称」であるか否かの判断基準を示した判例です。
指定商品・指定役務を元にその需用者(のみ)の視点にたって「著名な略称」かを判断するのではなく、その略称が一般的に受け入れられるかどうかを判断しなければならないと述べています。

よくこの4条1項8号の適用を議論する場合に、指定商品等と切り離して適用してよいか否かという議論があります。条文上は、指定商品等については何ら規定していないので、「原則として」指定商品等に関係なく4条1項8号の適用はあります。ただし、全く無関係な商品等にまで拡張させると人格的利益を超え過剰に保護してしまい、産業の発達を阻害するおそれがあるので、指定商品等も考慮すべきであり、全く関係のない指定商品等の場合には適用がないというものです。

ここでは、その逆に指定商品等の需用者層のみを考慮するのではなく、常に本人を指すか否か一般に受け入れられるか考慮しなければならないと指定商品等にとらわれないより原則にたちもとった形の結論になりました。

この結論は、全く無関係の商品等にまで拡張させてよいという結論ではなく、むしろ指定商品等「のみ」考慮してはならないという結論だと考るべきです。
一般に受け入れられているかを判断するのは難しく、どこまでその適用を認めるかは議論が分かれることと思います。おそらく、立場によって主張する論理は異なってくるはずです。

※2005/09/12修正

あと、個人的に興味深かった点として、原審では、

本件商標「国際自由学園」が学校の名称を表示する一体不可分の標章として称呼,観念されるものであることを考慮すると,本件商標に接する学生等が,本件商標中の「自由学園」に注意を引かれ,本件商標が上告人の一定の知名度を有する略称を含む商標であると認識するとは認めることができない。

と判断していましたが、最高裁の判断では、「国際自由学園」が「自由学園」を”含む”とのみ述べ、一体不可分か否かについては言及していませんでした。条文通りの適用ということです。

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投稿者 nabe : 23:20 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月07日

特許庁ホームページ

言わずとしれた特許庁のホームページ。弁理士試験関連の情報もいろいろ掲載されている。

特許庁ホームページ

http://www.jpo.go.jp/indexj.htm


短答試験の問題・解答、筆記試験の問題・論点、受験生や合格者に関する情報などだけでなく、法改正、審査基準やその他運用など重要な情報が掲載されている。
細かい運用などは実務で学べばよいが、最低限短答試験に出る情報程度は確認しておくべきかもしれない。
土日祝日以外は、毎日新着情報が更新されているので確認する必要がある。
最近、メールで新着情報を通知してくれるサービスをはじめたようである。

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投稿者 nabe : 19:48 | コメント (0) | トラックバック