2005年10月06日

論文の書き方(3) 問題文の理解と目的の設定

論文の書き方の第三回です。
今回は、問題文の理解と目的の設定について書きたいと思います。

問題文を自分なりに理解することができたら、次にするのは問題文に書かれていることから最終的に導き出したい事柄を目的として設定することです。

例えば、「以上の場合、被告はどの様なことを主張できるか」という場合は、「被告の主張」が目的となります。また、「~について論述せよ」という場合は、二つの対立する見解を比較検討してどちらか一方が優れているということを述べる必要があります。もっと具体的に、「差止請求はできるか」という問題の場合には、差止請求ができるか否かが問われていることになります。

最終的に何を出題者が求めているのかをしっかり把握して、最終的な結論を「明示的に」答案に書くことがとても重要です。結論を曖昧にしたまま答案を終了してしまうことは、採点者に結論はどちらでもいいですよといっていることと同じです。たとえ、それまでの論理構成から導き出すことができる結論が明らかであっても、明示的に結論を書く必要があります。

そのためにも問題文を読んで、最終的な結論となる目的を明確に意識する必要があります。

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2005年09月28日

基本レジュメ その1

今回は、基本レジュメについてです。

基本レジュメとは、基本的な問題(例えば新規性とは)等について記述した論文の模範解答です。もしくは、そのような模範解答を集めたものをいいます。たいてい一行程度で作成された簡単な問題で、例えば「新規性について述べよ」とか「29条の2と39条の違いを述べよ」など、いわゆる一行問題の形をとっています。

現在では事例を基にした論述形式の問題が主流ですが、以前(といっても平成1年より前ぐらいでしょうか)は、この一行問題が主流でした。最初の頃受験生は、吉藤などの数少ない基本書を必死にまとめてオリジナルの基本書を各自作成していたようです。答練などで優秀な答案があれば適宜自分の基本レジュメと差し替えるということも行っていたという話を聞いたことがあります。そのため、受験生は一通りのレジュメ集を作成するだけでどうしても3年程度かかってしまっていたようです。

ですが、代々木塾から基本レジュメ集が発売されると、皆その基本レジュメ集を暗記してそのまま再現するようになりました。そうなると、論文本試験ではいかにレジュメを正確に再現できるかということでしか差がつかなくなり、ちょっとのミスも許されないようなレベルになっていたとも聞きます。

試験委員の先生方もそのような傾向に疑問をもたれたためか、平成5,6年ぐらいからだんだんと事例形式の問題が出題されるようになり、基本問題が出題されなくなりました。事例問題というのは、事例・事件についての具体的措置などを記載させる問題のことで、基本問題が抽象的一般的な問題であるのに対して、事例問題は具体的です。近年では、ほとんど基本問題がそのまま出題されるケースはなくなり、ほぼ事例問題一色といってもよいほどになりました。たまに、平成14年度の意匠の問題みたいに、大問として基本問題そのものが問われることもありますが、最近では希であるように思います。出るとしても小問としてでしょう。

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2005年09月27日

論文筆記試験の成績

論文筆記試験の不合格者には、不合格通知とともに各科目の評価を知ることができます。評価は、○ABCDEの6段階になっていて以下のような評価になっています。

○印…………合格基準%以上の得点
ランクA:…合格点まで満点の 5%以内
ランクB:… 〃 6%~10%
ランクC:… 〃 11%~15%
ランクD:… 〃 16%~20%
ランクE:… 〃 21%以上

特実・意匠・商標・選択科目がそれぞれ○○○○の時のみ合格するというわけではなく、
A○○○でも、○○B○でも合格する可能性はあります。というよりそういう人の方が多いように思います。

逆にA○○○でも不合格ということがあり、判断に悩むところですが、論文筆記試験後の自分の手応えと比較してみるのもよいかもしれません。

論文試験を通過した人は論文試験がどれだけできたかは通知されません(記憶の限りでは)。
もしかしたら、口述試験の際、総括質問という形で筆記試験の手応えはどうでしたかというような質問とともに、筆記試験のできを試験管がそれとなく教えてくれるかもしれません。私の場合は、どの特許・意匠・商標とも試験のできについての質問(又は試験委員の感想)がありました。

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2005年09月26日

文字の汚さ

論文試験は、基本的にボールペン又は万年筆で書きます。
論文は丁寧に書く必要はありますが、制限時間内に必要な分量を書かなければならないので
どうしても乱雑な文字になりがちです。

よく、受験生の間で文字の汚さは採点の不利になるかどうかという話があります。
綺麗な文字、汚い文字というのもそれぞれなのですが、読みやすい文字、読みにくい文字はあるように思います。

結論をいうと、大した差にはならないが心証には影響します。判別不可能の文字は採点の対象外になります。同じ項目、同じ論理なら字の綺麗・汚いで多少の差はあるかもしれません。読みやすい答案に超したことはないです。

昨年、論文答練の採点講師をやった率直な感想ですが、読みにくい文字の人の答案は文字の識別に勢力を削がれ論理の流れを追いにくいように思いました。しっかりした論理がくまれていれば話は別ですが、そのような答案ははっきり言ってごく僅かです。論理の構築も中途半端で文字も汚いと心証はすごく落ちます。逆に、読みやすい文字の人は読む前から何となくそれだけで優秀な答案に思えるときもあります。もっとも、しっかり項目や論理も見ますし、内容が酷ければ高い点数はつけませんけれど。

だいたい10人の答案があれば、3人は綺麗で読みやすく、3人はまぁ読める程度、4人は頑張って読めば大丈夫な程度でした。たまにかなりレアですが、4人の中に相当頑張らないと読めない人が混じっていたりします。

ペン習字などを習った方がよいとまではいいませんが、せめて文字の大きさを揃えるとか、文字を同じ高さに揃えるなど工夫をすべきだと思います。書きなぐってある答案だけはやめた方がいいと思います。
少なくとも自分が採点者に注意してほしいと思うような項目は決して読めない字で書いてはいけません。

誰かに一度答案の文字の読みやすさについて見てもらった方がよいかもしれません。

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投稿者 nabe : 17:04 | コメント (2) | トラックバック

2005年09月22日

口述試験について

口述試験は、基本的に過去問と同じ問題がでます。ですから、過去問を集中的に回す必要があります。
多くの受験機関の口述練習会が過去問中心なのもこのためだと思います。

ただ、来年改正予定の事項や今疑問視あれていることなども問われることがありますので、一応確認しておいてください。昨年度、自分が受けたときは、「商標法における役務と小売り」について聞かれました。

特実・意匠・商標と3回のチャンスがあり、そのうち2回までしっかり答えられれば合格ですので、特実・意匠でしっかり答えることができれば商標の口述はかなりリラックスして臨めます。


ちなみに、昨年度の口述のテーマ一覧は特許庁のHPより参照できます。
HOME > 特許庁の取り組み(弁理士試験に関して) > 弁理士試験に関して > 平成16年度弁理士試験口述試験問題テーマの公表
http://www.jpo.go.jp/torikumi/benrishi/benrishi2/benrisi_oral_theme_fy16.htm

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投稿者 nabe : 13:52 | コメント (0) | トラックバック

弁理士試験論文筆記試験の合格発表

弁理士試験論文筆記試験の合格発表がありましたね。
まずは、合格者の方おめでとうございます。まぁ、ほぼ今回の合格が最終合格と同じようなものですし。
口述まであまり時間がないので、早めに対策を打つべきだと思います。特に口述練習会は早めに締め切るところも多いので、今日中には連絡すべきだと思います。

■ 口述練習会の情報については、ココの記事を参照のこと。


残念ながら不合格になってしまった方は、何が問題だったかを早めに検討すべきだと思います。
論文試験を受け終わった時点で、たいてい問題点には気づくものですが、絶対合格すると確信していたのに不合格だったというような人は一度、誰かに答案の再現を見てもらった方がよいかもしれません。
早めに軌道修正をして年内には自分の欠点をなくしておくべきだと思います。運不運で片付けるのは簡単ですが、問題点は必ず見つけ出すべきです。

合格者が738名。去年が、634名。その前の年は551名でした。
すごい勢いで合格者が増えてます。
これからは弁理士のインフレが起こり、質が問われる時代がくるのかもしれません。
しっかり仕事ができることがまず前提だとは思いますが、これからはいろいろな付加価値が求められてくるのかもしれません。

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2005年09月18日

受験機関の利用について

弁理士試験は一般に受験機関を利用しないと受からないといわれています。独学ではなかなか最終合格することが難しく、ほとんどの合格者は何らかの形で受験機関を利用しているというのが現実でしょう。

受験機関を利用するメリットとしては、


  • 無駄なく、効率のよい勉強ができる
  • 受験生仲間がいるため、勉強に対するモチベーションをお互いに高められる

といったところでしょうか。

おそらく、独学でも最終合格することは不可能ではないとは思います。ただ、独学だと法律知識などの習得とは別に、勉強法方法の模索や試験の傾向などの把握などを独自で行わなければならず、どうしても試行錯誤の作業が多くなり、余計な時間や手間がかかってしまいがちです。

独学者が陥りやすい学習方法として最も多いのは、実際の試験問題を無視した学習です。資格試験は、試験に合格することが目的であり、知識を高めることが目的ではありません。従って漫然と学習するのではなく、試験に受かるための学習をする必要があります。そのためには、短答試験や論文試験などの過去問を元に、その過去問を解くためにはどの様な学習方法をとらなければならないか、そのためにはどこからどの様にして学習する必要があるかということを分析する必要があります。極論を言ってしまえば、本試験で点数をとるためなら本質を理解する必要は必ずしも必要ないのです。

しかし、初学者の人が何の知識もなしに過去問をみてそのような分析を行えるはずありません。そうすると、どうしても「なんとなく」条文を最初から読んでみたり、「なんとなく」基本書を読んでみたりといった漠然とした学習方法をしてしまうようです。また、法律特に工業所有権四法は、相互に条文同士が関連し合っていることが多く、大局的なものの見方ができないとなかなか全体像が見えてきません。自分が疑問に思ったことなどに一つ一つ答えてくれる人が自分の周りにいるかいないかで学習の効率はかなり変わってくるでしょう。

たとえるならば、ある場所からある見知らぬ土地の目的地まで行きたいという場合に、地図もなく自分の勘を元に適当な方向に手当たり次第に歩き回り目的地を目指すことに独学は似ています。これでは、いつ目的地に着くかわかりません。その土地の人に目的地までの行き先を教えてもらか、地図を購入して目的地までたどり着く方が断然早く目的地までたどり着けます。お金をかけてもよいならばタクシーなどを利用してもっと楽にたどり着くこともできます。楽をした分、時間も労力も他のことに割けるので全体的には効率がよかったりします。


弁理士試験に限らず、何をするにでもライバルや共に頑張る仲間がいるとお互いが刺激となり効率が高まります。受験機関のゼミや講座を受講すれば、だいたい同じぐらいの知識レベルの人間が集まるので、そこで受験仲間を探してみるのもよい刺激になるかもしれません。また、お互いの情報を交換し合うことで予想外の収穫があるかもしれません。受験時代に知り合った仲間は、受験後も重要な人脈になりますので、大事にしたいものです。

ただ、受験機関はあくまで効率のよい学習の支援であり、あくまで学習の主体は自分自身ですので、どこまでその効率性を享受するかは各自が判断すべきことだと思います。受験期間にかけるお金と学習の効率はトレードオフなので、上手に受験機関を利用することをオススメします。

次回は、自分が受験の時に使った受験機関とその講座を紹介したいと思います。

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投稿者 nabe : 12:15 | コメント (0)

2005年09月16日

口述練習会

もうそろそろ、論文試験の合格発表ですね。ということで、口述試験対策の練習会を行っている受験機関や会派を紹介したいと思います。

まずは、主要な受験機関。


  1. 代々木塾
    5000円。練習会の内容は、基本的に過去問から出題される。過去問を如何に把握できているかを試すための模試だと考えてよいと思う。
  2. 早稲田セミナー
  3. LEC

次に、口述対策の練習会をやっている会派を紹介します。勧誘活動の一環としてやっているのだと思うが、会派への参加とは切り離して考え積極的に利用することをオススメする。

  1. 春秋会
    5000円で練習会に参加することができる。試験管は一人。実際の口述試験の会場となるソフティル東京で行われる。基本的に問題は過去問から出題される。※今年は8000円のようです。
  2. 弁理士クラブ
    3000円で練習会に参加することできる。試験管は1~2人。飯田橋のレインボービル大会議室で行われる。長机がたくさん並べられており、受験生は特許・意匠・商標の3科目をそれぞれ1回ずつ練習することができる。問題は基本的にオリジナル問題である。代々木塾の専任講師である堤先生が問題を作っているのだろうか。過去問よりも若干難しめで量も多いように感じた。受験生は出題されたオリジナル問題だけでなく、その他の用意されたオリジナル問題も帰り際レジュメとして配布されるのでよい復習材料になる。練習会は2回開催され、それぞれ異なる問題なので両方とも参加してみてもよいかもしれない。
    申し込みは、まずホームーページの受験生向けコンテンツのメール配信サービスに登録し、練習会に関するメールにおいて申し込みを行う。
  3. PA会
    無料で模試をやっており良心的に感じる。試験官は二人で会派の弁理士の人が有志でやっているようである。弁理士会館の大きな部屋に長机をいくつか並べて流れ作業的に模試を受ける。模試の内容は、過去問そのままで、過去問の内容をしっかり覚えているかどうかを試すための模試として受けるのがよいと思う。
  4. 南甲弁理士クラブ

その他の口述対策の練習会の情報があれば是非連絡ください。

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