2006年01月25日

平成18年01月24日 第三小法廷判決 平成17年(受)第541号 損害賠償請求事件

特許法に少しだけ関係する最高裁判例が出ました。ただ、あまり受験生には関係ない内容だと思います。

「質権の登録申請の受付」、「特許権の移転登録申請の受け付け」という順序でされたにもかかわらず、特許庁職員の過失により逆の順序で登録されてしまった事例です。判決では、損害賠償請求は認められました。

この判例で知ったのですが、「登録申請の受付」と実際の「登録」とは別なのですね。
また、一度登録されると、遡って質権を有効にするということは不可能で、損害賠償しかないのかもしれません。(ここら辺はかなり適当なこといっているかもしれません。)


折角なので、関連する条文を確認しておくとよいと思います。

平成18年01月24日 第三小法廷判決 平成17年(受)第541号 損害賠償請求事件

要旨:
 1 特許庁職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことによる損害の額
2 特許庁職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことを理由とする国家賠償請求事件において損害額の立証が困難であったとしても民訴法248条により相当な損害額が認定されなければならないとされた事例
 特許権の移転及び特許権を目的とする質権の設定は,特許庁に備える特許原簿に登録するものとされ(特許法27条1項1号,3号),かつ,相続その他の一般承継による特許権の移転を除き,登録しなければその効力を生じないものとされ(同法98条1項1号,3号),これらの登録は,原則として,登録権利者及び登録義務者の共同申請,登録義務者の単独申請承諾書を添付した登録権利者の申請等に基づいて行われることとされている(特許登録令15条,18条,19条)。したがって,特許権者甲が,その債権者乙に対して甲の有する特許権を目的とする質権を設定する旨の契約を締結し,これと相前後して第三者丙に対して当該特許権を移転する旨の契約を締結した場合において,乙に対する質権設定登録の申請が先に受け付けられ,その後丙に対する特許権移転登録の申請が受け付けられたときでも,丙に対する特許権移転登録が先にされれば,質権の効力が生ずる前に当該特許権が丙に移転されていたことになるから,もはや乙に対する質権設定登録をすることはできず,結局,当該質権の効力は生じないこととなる。このため,申請による登録は,受付の順序に従ってしなければならないものとされており(同令37条1項),特許庁の担当職員がこの定めに反して受付の順序に従わず,後に受付のされた丙に対する特許権移転登録手続を先にしたために,先に受付のされた乙に対する質権設定登録をすることができなくなった場合には,乙は,特許庁の担当職員の過失により,本来有効に取得することのできた質権を取得することができなかったものであるから,これによって被った損害について,国家賠償を求めることができる。
  前記事実関係によれば,上告人は,平成9年9月1日,A社から本件質権の設定を受け,同月2日,特許庁長官に本件質権設定登録を申請し,同月3日,これが受け付けられたにもかかわらず,この受付に後れて申請及び受付がされた本件特許権移転登録が先にされたため,本件質権の効力が生じなかったというのであるから,上告人は,特許庁の担当職員の過失により,本来有効に取得することのできた本件質権を取得することができなかったものであることが明らかである。
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投稿者 nabe : 03:01 | コメント (0) | トラックバック

2005年08月13日

銘菓ひよ子

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(c) HIYOKO.co.,ltd.

東京銘菓だと思われがちだが、実はもともとは福岡銘菓の「ひよ子」。この「ひよ子」に関しての審決が先日9日にあった。

請求人である二鶴堂の主張が認められず、無効審判の請求が棄却されたようである。

「ひよ子」立体商標認める 特許庁、他社との識別可能 ( Sankei Web )

審決で特許庁は、ひよ子の形状自体はありふれたものとしながら「ひよ子は年間約50億円の販売実績があり、広告に年間7億―8億円かけて広く流通していることから、消費者や取引業者はひよ子であることを識別できる」として登録は有効と判断した。

経緯としては、

ひよ子は2003年8月に立体商標登録されたことを受け、昨年3月、鳥形まんじゅう「二鶴の親子」を販売する二鶴堂が商標権を侵害しているとして販売中止を求め福岡地裁に提訴。二鶴堂は同9月、登録無効を特許庁に請求した。

とのこと。

株式会社ひよ子による侵害訴訟に対抗するために、二鶴堂が逆に無効審判請求をしたということらしい。
二階堂側はさらにこの事件を審決取消訴訟に持ちこみ争う姿勢のようだ。


IPDLで確認してみると、どうやら出願段階に一度3条1項3号の拒絶理由で拒絶査定をもらっている。拒絶査定不服審判で、3条2項の適用がある旨の主張が受け入れられて、登録を受けているようである。


出願番号:商標 平09-102128
商標登録番号:4704439

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投稿者 nabe : 13:41 | コメント (0)