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2005年10月18日
論文の書き方(5) 条文の要件
論文の書き方の5回目です。今回は条文を要件に分割する作業について説明します。
ターゲットとなる目的に直接関係する条文を見つけだしましたので、次はその条文を要件という小さい形に分割していきます。
基本的に、条文は大きく「条件」と「結論」に分割することができます。
例えば、「~のとき、・・・できる。」とか「~の場合、・・・できる。」というような条文であれば、「~」の部分が「条件」で、「・・・」の部分が「結論」です。「・・・とは~である。」など多少の変化形もありますが、ほとんどの条文がこの条件部と結論部から構成されています。
前回見つけてきた条文を見てみると、この「結論」の部分が最終的な目的となっていることが分かると思います。
条文の「条件」部分をもう少し詳しく見てみましょう。
「条件」部分は、いくつかの「要件」に分割することができます。
「要件」とは条件を細かく分割した各項目のことです。
例えば、
(差止請求権)
第100条
特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
であれば、「その侵害の停止又は予防を請求することができる」が結論。
「特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、」が条件。
そして、条件部分を意味をベースにしてもう少し細かく分割してみると、「特許権者又は専用実施権者」、「自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者」に分割することができます。このままでは少しわかりにくいので手を加えて
(1)「差止請求する者が特許権者又は専用実施権者であること」
(2)「自己の特許権又は専用実施権が侵害されたこと又は侵害されるおそれがあること」
の二つになります。
後者(2)はもっとより細かく次のように分割することができます。
(3)「自己の特許権を侵害されたこと」
(3’)「自己の特許権が侵害されるおそれがあること」
(4)「自己の専用実施権が侵害されたこと」
(4’)「自己の専用実施権が侵害されるおそれがあること」
以上を見てみると、(1)(3)(3’)(4)(4’)が100条1項の要件です。
(もっと要件を細かく分割しなければならないのですが、ここではここで止めます)
要件それぞれの間には関係性がありますが、条文で要件がどの様につながっているかをみれば分かります。
ここでは、(1)and{(3)or(3’)or(4)or(4’)}ということになります。
すなわち、(1)かつ(3)、(1)かつ(3’)、(1)かつ(4)、(1)かつ(4’)の四パターンのいずれかに当てはまれば100条1項に該当することになります。
投稿者 nabe : 2005年10月18日 18:30
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